陽気なインコとして知られるシロハラインコ。その愛らしい姿やコミカルな動きに惹かれ、家族としてお迎えしたいと考えている方も多いのではないでしょうか。しかし、ペットショップで値段を見て、その高さに驚いた経験はありませんか。
この記事では、シロハラインコはなぜ高いのかという疑問に答えるため、その高い理由を深掘りします。種類ごとの特徴や雛と成鳥での値段の違い、人懐っこい性格やその寿命、そして見過ごされがちなデメリットまで、網羅的に解説します。
また、信頼できるブリーダーからの購入や里親制度、安く買うための具体的な方法にも触れていきます。この記事を読むことで、お迎えした後に後悔することなく、シロハラインコと長く幸せな生活を送るための知識が身につくはずです。
シロハラインコはなぜ高い?価格が決まる要因

※画像はイメージです
- 価格にも影響するシロハラインコの種類
- 希少性だけじゃない!価格が高い理由とは
- 雛と成鳥で違うシロハラインコの値段
- ブリーダーからの直接購入という選択肢
- シロハラインコを安く買うための方法
- 里親制度を利用して迎えるという選択肢
価格にも影響するシロハラインコの種類
シロハラインコには主に3つの種類が存在し、どの種類かによって見た目の特徴や価格帯が異なります。ご自身の好みや予算を考える上で、それぞれの違いを理解しておくことが最初のステップとなります。
最もポピュラーなのが、その名の通りお腹が白い「シロハラインコ」です。オレンジ色の頭に黄色い頬、緑色の背中と、非常にカラフルで明るい印象を与えます。このシロハラインコの亜種として、太ももの羽が黄色い「キモモシロハラインコ」も存在します。
次に、頭部が黒い「ズグロシロハラインコ」がいます。シロハラインコと比較すると、黒と白のコントラストがはっきりしており、落ち着いた大人びた雰囲気を持つのが特徴です。性格はシロハラインコよりも穏やかな個体が多いとされています。
そして、「グリーンタイツシロハラインコ」は、太ももが緑色をしている基亜種です。しかし、近年その個体数は減少傾向にあり、ワシントン条約(CITES)の付属書Ⅱに掲載され、保護の対象となっています。このため、市場に出回る数が少なく、希少価値が非常に高くなっています。
これらの種類ごとの特徴を以下の表にまとめました。
種類 |
主要な特徴 |
その他情報 |
シロハラインコ |
白いお腹、オレンジ色の頭部、カラフルな羽色 |
亜種にキモモシロハラインコが存在する |
ズグロシロハラインコ |
黒い頭部、落ち着いた色合い |
比較的穏やかな性格の個体が多いとされる |
グリーンタイツシロハラインコ |
緑色の太もも、シロハラインコの基亜種 |
CITESⅡに指定されており希少価値が高い |
このように、種類によって見た目の印象や希少性が変わってくるため、価格にも差が生まれるのです。
希少性だけじゃない!価格が高い理由とは
シロハラインコの価格が高い背景には、単に珍しいからというだけでなく、複数の要因が複雑に絡み合っています。これらの理由を理解することで、価格に対する納得感も深まるでしょう。
第一に、生息数の減少による希少性が挙げられます。南米のアマゾン熱帯雨林などに生息していますが、環境破壊や乱獲によって野生の個体数が減少しています。このため、野生個体の捕獲が厳しく制限されており、供給量が限られていることが価格を押し上げる一因となっています。
第二に、長寿命であることが飼育コストに影響しています。シロハラインコは25年以上生きるため、ブリーダーや販売店では、長期間にわたる健康管理や適切な飼育環境の維持にコストがかかります。これらのコストが販売価格に反映されるのは自然なことです。
第三に、ワシントン条約(CITES)による法的な保護があります。特にグリーンタイツシロハラインコは、絶滅の恐れがある種として国際的な取引が厳しく管理されています。公式な情報によれば、シロハラインコは付属書Ⅱに掲載されており、これは取引を管理しなければ種の存続が危うくなることを意味します。合法的に取引できる個体が少ないことも、価格に影響を与えます。
参考になる引用
シロハラインコ(Pionites leucogaster)はワシントン条約(CITES)附属書IIに掲載されており、国際取引の管理が必要とされていますが、絶滅危惧種には該当しません。IUCNではかつて絶滅危惧種とされていた基亜種「グリーンタイツ」が、2021年以降は「危急種(Vulnerable)」に再分類されています。一部情報源では依然「絶滅危惧種」として記載されていますが、最新評価を反映していない可能性があります。
より詳細で公式な情報については、以下のURLを参照できます
CITESにおけるPionites leucogasterのリスト
https://cites.org/eng/taxonomy/term/3126
日本の環境省によるCITESに関する一般情報
https://www.env.go.jp/nature/kisho/kisei/en/cites/
第四に、繁殖の難しさがあります。シロハラインコの繁殖は他の鳥と比べて簡単ではなく、専門的な知識や技術、特定の環境条件が求められます。このため、国内での繁殖に成功した個体は数が限られ、その分、価格も高くなる傾向にあるのです。
最後に、その魅力からくる高い需要があります。鮮やかな見た目と人懐っこい性格で非常に人気があるため、多くの人が飼育を望んでいます。この高い需要が価格を押し上げる要因の一つとなっています。
雛と成鳥で違うシロハラインコの値段
シロハラインコの販売価格は、お迎えする個体が雛か成鳥かによって明確な違いが見られます。どちらを選ぶかによって、初期費用だけでなく、その後の飼育の手間も変わってくるため、それぞれのメリットとデメリットを把握しておくことが大切です。
一般的に、雛は成鳥に比べて高価で取引される傾向があります。これは、雛ならではの愛くるしさや、幼い頃から育てることで自分によく懐いてくれるという期待感に価値が見出されるためです。飼い主が自ら社会化やトレーニングを行う過程そのものを楽しみたいと考える人も少なくありません。しかし、雛はまだ体が弱く、育成には手間と時間がかかる上、成長過程での健康リスクも考慮する必要があります。
一方、成鳥は雛に比べて安価な場合が多いです。すでに性格や習慣がある程度確立されており、健康状態も安定している個体が多いため、お迎えした直後から比較的落ち着いた飼育を開始できます。ただし、新しい環境や飼い主への適応に時間がかかるケースや、過去の飼育環境によって形成された性格や癖を変えるのが難しい場合もあります。
雛と成鳥の主な違いを以下の表にまとめました。
特徴 |
雛のシロハラインコ |
成鳥のシロハラインコ |
価格 |
一般的に高価 |
一般的に安価 |
健康リスク |
比較的高い |
比較的低い |
トレーニング |
飼い主が行う必要あり |
基本的に済んでいる場合が多い |
飼育の手間 |
手間と時間がかかる |
比較的すぐに開始できる |
社会化 |
早期に行える |
新しい環境への適応に時間がかかる場合がある |
以上の点を踏まえると、初期費用は高くても一から育てたい方は雛を、飼育の手間を少しでも減らしたい、あるいは落ち着いた個体を望む方は成鳥を迎えることを検討するのが良いと考えられます。
ブリーダーからの直接購入という選択肢
シロハラインコをお迎えする際、ペットショップなどの販売店だけでなく、ブリーダーから直接購入するという方法があります。この選択肢は、価格面や得られる情報の質において、多くのメリットを持っています。
ブリーダーから直接購入する最大の利点は、価格が抑えられる傾向にあることです。販売店を介さないため、店舗運営費や人件費といった中間コストがかからず、その分、販売価格が安くなる可能性があります。
また、どのような環境で生まれ育ったのかを直接確認できる点も大きな安心材料です。親鳥の健康状態や性格、雛が育った具体的な環境について詳細な情報を得られます。これは、お迎えする子の将来の健康や性格を予測する上で非常に有益な情報となります。希少な色変わりや特定の特徴を持つ個体と出会える可能性が高いのも、ブリーダーならではの魅力です。
ただし、メリットばかりではありません。ブリーダーによっては、購入後のアフターケアやサポートが販売店ほど手厚くない場合もあります。そのため、飼育に関する基本的な知識や、万が一の際の対応について、ある程度の経験や心構えが飼い主自身に求められることもあります。
ここで注意したいのは、生体を販売するには、動物愛護法に基づき「第一種動物取扱業」の登録が義務付けられている点です。近年、SNSなどで「自宅で生まれたので安く譲ります」といった個人間のやり取りや、無登録の自称ブリーダーが見受けられます。トラブルを避けるためにも、お迎えを検討するブリーダーがきちんと登録業者であるかを確認することが不可欠です。
里親制度を利用して迎えるという選択肢
シロハラインコを迎える方法として、里親制度を利用することもできます。これは、前の飼い主が何らかの事情で飼育を続けられなくなったインコを、新しい家族として引き取る制度です。
里親になる最大の意義は、行き場を失ったかもしれない一つの命を救い、新しい幸せな環境を提供できる点にあります。費用面でも、生体代そのものはかからないか、かかっても非常に安価な場合が多く、お迎えの初期費用を大幅に抑えることが可能です。
動物保護団体や、インターネット上の里親募集サイトなどで、里親を待っているシロハラインコの情報が見つかることがあります。ただし、人気の鳥種であるため、募集が出るとすぐに応募が殺到することも少なくありません。日頃からサイトをこまめにチェックしておく必要があります。
里親になる上で注意すべき点もあります。まず、そのインコがなぜ手放されることになったのか、その背景を可能な限り把握することが大切です。また、過去の健康状態や性格、持っている癖などについて、事前に詳しく確認しておくことが求められます。新しい環境に慣れるまでに時間がかかることもあるため、根気強く向き合う覚悟も必要です。
里親になるということは、一度傷ついたかもしれないインコの生涯に、最後まで責任を持つという重い約束を交わすことです。費用面でのメリットだけに惹かれるのではなく、その子のすべてを受け入れ、愛情を注ぐことができるかを真剣に考えた上で、この尊い選択肢を検討してください。
シロハラインコはなぜ高い?後悔しない飼育知識

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- 陽気で人懐っこい性格とその魅力
- 30年を共にする覚悟が必要な寿命
- 飼う前に知るべき6つのデメリット
- 「飼わなきゃよかった」と後悔しないために
陽気で人懐っこい性格とその魅力
シロハラインコの価格が高い理由の一つに、その性格がもたらす圧倒的な人気があります。彼らは非常に社交的で陽気な性格をしており、その魅力は多くの飼い主を虜にしています。
最大の特徴は、非常に人懐っこく、飼い主とのコミュニケーションを心から楽しむ点です。好奇心も旺盛で、新しいおもちゃや遊びにすぐに興味を示します。転がったり、ジャンプしたり、逆さまにぶら下がったりと、そのアクロバティックで活発な動きは、見ているだけで飼い主を楽しませてくれるでしょう。
また、知能が高く、簡単なトリックやコマンドを覚えることができます。人間の言葉を真似る能力はそれほど高くありませんが、口笛や電子音などを模倣し、コミカルな鳴き声でコミュニケーションを取ろうとします。
多頭飼いをしていると、「シロハラプロレス」と呼ばれる、じゃれ合って遊ぶ独特の行動を見ることができます。これは、彼らの社会性の高さを物語る行動の一つです。適切に慣らせばハーネスを付けて一緒にお散歩に出かけることも可能で、家の外でもポジティブに楽しむ姿を見せてくれます。
このように、シロハラインコはただ美しいだけでなく、飼い主との間に深い絆を築くことができる、非常にインタラクティブなペットです。この愛情深くコミカルな性格こそが、多くの人々を惹きつけてやまない最大の魅力と言えるでしょう。
30年を共にする覚悟が必要な寿命
シロハラインコをお迎えする上で、価格以上に真剣に考えなければならないのが、その寿命の長さです。彼らの平均寿命は25年から30年と言われており、これは犬や猫と比較しても非常に長い期間です。中には40年近く生きる個体もいます。
この長寿の背景には、鳥類特有の体の仕組みがあります。鳥類は、哺乳類に比べて代謝が活発である一方、おしっこと共に排出される尿酸が持つ抗酸化作用などにより、細胞の老化が遅いと考えられています。適切な飼育環境下では、その寿命はさらに延びる可能性があります。
他の鳥と比較しても、その長さは際立っています。
鳥の種類 |
平均寿命の目安 |
セキセイインコ |
5~10年 |
オカメインコ |
15~20年 |
シロハラインコ |
25~30年 |
ヨウム |
50~60年 |
この30年という歳月は、飼い主のライフステージに大きな変化をもたらすのに十分な時間です。就職、結婚、出産、転居など、様々な変化が訪れる可能性があります。どのような状況になっても、最後まで責任を持って飼育し続けられるか、お迎えする前に自問自答することが不可欠です。
シロハラインコの健康で長い一生を支えるためには、バランスの取れた食事、十分な運動ができる環境、ストレスの少ない静かな生活、そして定期的な健康診断が欠かせません。この長い付き合いを覚悟し、生涯にわたるパートナーとして迎えるという強い決意が求められます。
飼う前に知るべき6つのデメリット
シロハラインコの魅力的な側面に心惹かれる一方で、飼育に伴うデメリットや大変な点を事前に理解しておくことは、後悔を避けるために非常に大切です。ここでは、お迎えする前に知っておくべき6つのポイントを解説します。
第一に、鳴き声の大きさです。シロハラインコは感情表現が豊かで、特に興奮した時や何かを要求する時には、甲高く大きな声で鳴きます。集合住宅での飼育を検討している場合は、防音対策が必須となるでしょう。
第二に、フンや餌の飛び散りによる掃除の手間です。鳥は体を軽く保つために頻繁にフンをします。放鳥中にお気に入りの家具や洋服の上でされてしまうことも日常茶飯事です。また、餌を食べる際に殻や食べかすを周囲に散らかすため、ケージ周りは常に清潔に保つ努力が必要になります。
第三に、噛む力が強いことです。クチバシを使ったコミュニケーションの一環として甘噛みをすることもありますが、発情期や何かに驚いた時には、本気で噛まれて怪我をする可能性があります。家具や電気コードなどを齧ってしまう危険もあるため、放鳥時には目を離せません。
第四に、発情のコントロールが難しい点です。家庭で飼育されているインコは、食事が豊富で環境が安定しているため、一年中発情してしまうことがあります。発情は攻撃性を高めるだけでなく、メスの場合は卵詰まりなどの病気に、オスの場合は精巣の腫瘍などに繋がるリスクを高めるため、食事量の管理などで適切にコントロールする必要があります。
第五に、必ずしも簡単に懐くとは限らないことです。特に成鳥から迎えた場合や、複数のインコを一緒に飼育している場合、人よりも鳥同士の関係を優先し、飼い主になかなか心を開かないケースもあります。
最後に、前述の通り、寿命が非常に長いことです。25年以上にわたるお世話、医療費、そして愛情を注ぎ続ける責任を負えるか、慎重に考える必要があります。
「飼わなきゃよかった」と後悔しないために
「こんなはずじゃなかった」と後悔することを避けるためには、シロハラインコ特有の習性や、飼育が生活に与える具体的な影響について、より深く理解しておくことが求められます。特に注意すべき点をいくつか紹介します。
シャケ化と呼ばれる興奮状態
シロハラインコの飼い主の間で知られる「シャケ化」という行動があります。これは、インコが極度に興奮したり、ストレスを感じたりした際に、まるで川を遡る鮭のような形相で、攻撃的な行動を示す状態を指します。
原因は、発情、突然の大きな音、見知らぬ人や物との遭遇など様々です。シャケ化を防ぐためには、インコが安心できる安定した環境を維持し、ストレス要因を極力減らすことが大切になります。もしシャケ化が起きてしまった場合は、大声を出したり急な動きをしたりせず、冷静に距離を取り、インコが落ち着くのを待つことが肝心です。飼い主が噛まれないよう、また噛ませないよう、インコの様子を日頃からよく観察し、興奮のサインを見極める努力が鍵となります。
生活への影響と制約
シロハラインコとの生活は、喜びだけでなく、いくつかの制約も伴います。
まず、医療費や飼育費用です。毎日の餌代に加え、夏場のエアコンや冬場のヒーターといった光熱費もかかります。また、鳥を専門的に診てくれる動物病院は限られており、万が一の病気や怪我の際には高額な医療費が必要になることもあります。
次に、長期の外出が難しくなることです。インコは環境の変化に敏感で、飼い主が1泊でも家を空けると、寂しさやストレスから体調を崩したり、自分の羽を抜く「毛引き症」を発症したりすることがあります。旅行や出張の際は、ペットホテルや信頼できる預け先を確保する必要があります。
さらに、インコにとって危険なものを家から排除しなければなりません。香水やアロマオイル、マニキュアなどの強い匂いは、インコの繊細な呼吸器に害を及ぼす可能性があります。また、観葉植物の中にはインコにとって有毒なものが多く存在します。ポトスやモンステラ、ポインセチアなどは代表的な例です。安全な環境を維持するための配慮が常に求められます。
まとめ:シロハラインコはなぜ高いのか
この記事では、シロハラインコの価格が高い理由から、お迎えする前に知っておくべき様々な情報までを解説しました。最後に、重要なポイントを振り返ります。
- シロハラインコの価格は希少性や繁殖の難しさ、高い人気など複数の要因で決まる
- 飼育には25年以上の長期間にわたる健康管理コストがかかることも価格の一因
- ワシントン条約で保護されており、合法的な取引数が限られている
- 種類は主にシロハラ、ズグロ、グリーンタイツの3つがあり、それぞれ特徴や価格が異なる
- 一般的に雛は高価で、成鳥は比較的安価な傾向にある
- 雛は育てる楽しみがあるが、健康リスクや手間を考慮する必要がある
- 成鳥は性格が安定しているが、新しい環境への適応に時間がかかる場合がある
- 購入先は販売店とブリーダーがあり、それぞれにメリット・デメリットが存在する
- ブリーダーからの直接購入は価格を抑えられる可能性がある
- 安く買う方法にはセールを狙うなどの手があるが、個体の健康が最優先
- 里親制度は費用を抑えられるが、終生飼育の重い責任が伴う
- 性格は非常に陽気で人懐っこく、飼い主とのコミュニケーションを楽しむ
- 平均寿命は25年から30年と非常に長く、ライフプランを考えることが不可欠
- 大きな鳴き声や掃除の手間、噛む力などのデメリットも存在する
- 「シャケ化」と呼ばれる攻撃的な興奮状態になることがあるため注意が必要