カラフルで可愛らしいマカロンは、贈り物や自分へのご褒美として人気のスイーツです。しかし、その小さなサイズからは想像がつかないほどの価格に「マカロンはなぜ高いのだろう?」と疑問を感じたことはありませんか。
高級菓子のイメージが強いマカロンですが、なぜ人気がこれほどあるのか、その魅力はどこにあるのでしょうか。
一方で、独特の食感や甘さから「まずい」と感じる声も存在します。価格の背景には、製造がなぜ難しいのか、そして専門的な技術を要する作り方が深く関わっています。
この記事では、マカロンが高級とされる理由から、手頃な安い商品の情報まで、読者の疑問に答えていきます。
マカロンはなぜ高い?その理由を徹底解説
- そもそもマカロンとは
- マカロンの高い理由
- 製造がなぜ難しいのか
- マカロンの原価率はどのくらい?
- 高くてもなぜ人気なのか
そもそもマカロンとは
マカロンは、卵白、砂糖、アーモンドプードルを主原料として焼き上げた生地(コック)に、クリームやガナッシュを挟んだフランスを代表する洋菓子です。カラフルな見た目と、外側はさっくり、中はしっとりとした独特の食感が大きな特徴となっています。
その起源はイタリアにあるとされ、16世紀にカトリーヌ・ド・メディシスがフランス王家に嫁ぐ際に伝わった「マッケローネ」という焼き菓子が原型だと言われています。当時は、アーモンドを使った素朴な焼き菓子でした。
現在のように2枚の生地でクリームを挟む華やかな形(マカロン・パリジャン)になったのは、20世紀に入ってからです。パリの老舗パティスリー「ラデュレ」がこのスタイルを考案したとされ、そこから世界中へと広まっていきました。
マカロンの高い理由
マカロンの価格が高い主な理由は、高品質な原材料の使用、製造に要する高度な技術と手間、そしてブランド価値にあると考えられます。
第一に、原材料費です。主原料のアーモンドプードルは、小麦粉と比較して非常に高価な食材です。特に、マカロン特有の繊細な風味や食感を出すためには、粒子が細かく品質の高いアーモンドプードルが求められます。
また、間に挟むフィリング(詰め物)にも、高級なチョコレート、フルーツピューレ、ピスタチオといった高価な食材が惜しみなく使われることが多く、これがコストを押し上げています。
第二に、製造に必要な技術と手間です。マカロン作りは非常に繊細な工程の連続であり、失敗するリスクが高いお菓子です。この製造の難しさについては後ほど詳しく触れますが、熟練したパティシエの技術と時間が不可欠であり、その技術料と手間が価格に反映されています。
第三に、ブランド価値や管理コストです。有名パティスリーが手掛けるマカロンには、その店の看板商品としてのブランド価値も価格に含まれます。さらに、マカロンは湿度や温度変化に非常に弱く、割れやすいデリケートなお菓子です。
品質を保つための厳重な保存管理や、輸送時の丁寧な梱包にもコストがかかるため、全体の価格に影響を与えています。
製造がなぜ難しいのか
マカロンの製造がなぜ難しいとされるのか、その最大の理由は「メレンゲの状態」と「マカロナージュ」という工程の見極めが極めて繊細であるためです。
マカロンの土台となるメレンゲは、硬すぎても柔らかすぎても理想の食感にはなりません。安定した状態のメレンゲを作ること自体が、まず最初の関門となります。
次に「マカロナージュ」と呼ばれる工程があります。これは、メレンゲの泡を適度に潰しながら、アーモンドプードルなどの粉類と混ぜ合わせる作業です。この混ぜ具合がマカロンの出来を決定的に左右します。
混ぜ足りないと生地が硬く、焼いたときに表面が割れてしまう原因になります。逆に混ぜすぎると生地が緩くなり、焼いても膨らまなかったり、マカロン特有のフチ部分である「ピエ」が綺麗に出なかったりします。
さらに、生地を絞った後、焼く前に表面を乾燥させる工程も欠かせません。この乾燥が不十分だと、焼成中にひび割れを起こしやすくなります。
これらの工程は、その日の気温や湿度といった環境にも大きく左右されます。そのため、レシピ通りに作業しても失敗することが珍しくなく、毎回同じ品質のマカロンに仕上げるには、パティシエの高度な技術と長年の経験が不可欠なのです。
マカロンの原価率はどのくらい?
マカロンの原価率は、一般的な飲食店の原価率の目安(約30%)と比較して、やや高めになる傾向があり、一般的に30%から40%程度とされています。
最も大きな要因は、前述の通り、高価なアーモンドプードルを主原料としている点です。小麦粉が主体の他のお菓子と比べ、材料費の占める割合がどうしても大きくなります。フィリングに使われる高級チョコレートやピスタチオ、新鮮なフルーツピューレなども原価を押し上げる要因です。
また、製造工程が複雑で手間がかかり、熟練した技術が必要なため、製造にかかる人件費(技術料)も原価に色濃く反映されます。失敗による廃棄(ロス)率が他のお菓子よりも高いことも、原価率に影響を与える要因と考えられます。
加えて、繊細な商品を保護するための美しい箱や特別な包装資材費、品質を保持するための冷蔵輸送コストなども考慮に入れる必要があります。したがって、マカロンの販売価格が高い背景には、それに見合ったコストがかかっていることが分かります。
高くてもなぜ人気なのか
マカロンがその価格にもかかわらず、多くの人々から根強い人気を集める理由は、その圧倒的な「特別感」と「五感で楽しむ魅力」にあると言えるでしょう。
第一に、見た目の華やかさです。カラフルで宝石のような美しいビジュアルは、他のスイーツにはない強い魅力を持っています。パステルカラーからビビッドな色合いまで、箱に詰められた姿は非常にフォトジェニックであり、SNSなどで写真映えすることも人気の要因となっています。
第二に、独特の食感と味わいです。外側のさっくりとした歯触りと、内側のしっとり・もっちりとした食感のコントラストは、マカロンならではのものです。中に挟まれた濃厚なフィリングとの一体感が、一口で贅沢な味わいを生み出します。
第三に、フレーバーの多様性です。チョコレートやバニラといった伝統的なものから、ピスタチオ、ローズ、塩キャラメル、季節のフルーツ、さらには抹茶やほうじ茶といった和の素材まで、フレーバーのバリエーションが非常に豊富です。訪れるたびに新しい味に出会える楽しさも、ファンを飽きさせません。
最後に、ギフトとしての価値の高さです。見た目の美しさと高級感から、マカロンは「特別な人への贈り物」として非常に適しています。
誕生日、バレンタイン、ホワイトデーといったイベントや、大切な手土産の場面で選ばれることが多いお菓子です。受け取った側に「大切にされている」という感覚を与える力を持っています。
マカロンはなぜ高い?魅力と選び方を知る
- マカロンはまずいという意見も
- 基本のマカロンの作り方
- おすすめの高級マカロン
- 安いマカロンはどこで買える?
- マカロンがなぜ高いかを知って楽しもう
マカロンはまずいという意見も
多くの人に愛される一方で、マカロンを「まずい」と感じる人がいるのも事実です。これは主に、マカロン特有の「強い甘さ」と「独特の食感」が、個人の好みに合わない場合に起こると考えられます。
理由の一つは、その強い甘さです。マカロンは、生地(コック)にもフィリングにも多くの砂糖が使用されます。特に海外ブランドのものは甘さが際立っていることがあり、この濃厚な甘さが苦手な人にとっては、一口で「甘すぎる」と感じてしまうことがあります。
二つ目の理由は、独特の食感です。マカロンの食感は、クッキーともケーキとも異なります。外側のさっくり感に対し、内側は少しねっとり、もっちりとした食感を持っています。この食感を「異質だ」と感じたり、「歯にくっつく感じが苦手」と感じたりする人もいます。
また、フレーバーによっては、ローズやラベンダーなど、香料を使ったものも多く見られます。こうした化粧品を連想させるような香りが、食べ物として受け入れ難いと感じるケースもあるようです。
最後に、品質の問題も考えられます。前述の通り、マカロンは製造や管理が難しいお菓子です。パティシエの技術が未熟であったり、保存状態が悪かったりすると、生地が湿気て食感が失われていたり、逆にパサパサになっていたりして、本来の美味しさが損なわれている場合があります。
もし一度食べて苦手意識を持ったとしても、異なるブランドやパティスリーのマカロンを試してみると、自分の好みに合うものに出会える可能性もあります。
基本のマカロンの作り方
マカロンの作り方は、メレンゲの種類によって主に「フレンチメレンゲ法」と「イタリアンメレンゲ法」に分けられます。ここでは、家庭でも比較的挑戦しやすいフレンチメレンゲ法の大まかな流れを紹介します。
下準備
まず、主原料となるアーモンドプードルと粉糖を合わせて、細かくふるっておきます。卵白は、あらかじめ割って冷蔵庫で冷やしておくと、安定した良いメレンゲが立ちやすくなると言われています。
メレンゲ作り
冷やした卵白をハンドミキサーなどで泡立てます。ある程度泡立ったら、グラニュー糖を数回に分けて加えながら、ピンと硬いツノが立つしっかりとしたメレンゲを作ります。必要であれば、この段階で食紅などの食用色素を加えて色を付けます。
マカロナージュ
ふるっておいた粉類をメレンゲのボウルに加え、ゴムベラでさっくりと混ぜ合わせます。全体が混ざってきたら、ボウルの側面に生地を押し付けるようにしてメレンゲの泡を潰し、生地の硬さを調整していきます。
この作業が「マカロナージュ」です。生地をゴムベラですくった時に、リボン状になってゆっくりと途切れながら落ちるくらいの硬さが目安です。
乾燥と焼成
生地を絞り袋に入れ、オーブンシートを敷いた天板の上に均等な大きさに丸く絞り出します。その後、オーブンには入れず、室温で表面を乾燥させます。指でそっと触っても生地が手につかなくなるまで、30分から1時間ほどが目安です。
乾燥したら、予熱しておいたオーブンで指定の時間焼きます。焼成後、完全に冷めてからシートから剥がします。
仕上げ
冷ましたマカロンコックの片方に、好みのガナッシュやバタークリーム、ジャムなどを絞り、もう1枚のコックで挟んで完成です。作った当日に食べるよりも、冷蔵庫で一晩寝かせてフィリングの水分が生地に馴染んだ頃が食べごろとされています。
ただし、前述の通り、マカロナージュの見極めや乾燥の加減、焼成温度は非常に繊細で、家庭で作る場合は失敗しやすいポイントです。
おすすめの高級マカロン
マカロンの真髄を味わいたい場合、世界的に有名なブランドや、独自のこだわりを持つ専門店をチェックするのがおすすめです。
ラデュレ (Ladurée)
マカロン・パリジャンを生み出したとされる、パリの老舗パティスリーです。その歴史と伝統に裏打ちされた、上品な色合いとクラシックなフレーバーが特徴です。まさにマカロンの「王道」とも言える存在で、美しいギフトボックスも贈り物として絶大な人気を誇ります。
ピエール・エルメ・パリ (Pierre Hermé Paris)
「パティスリー界のピカソ」と称されるピエール・エルメ氏のブランドです。イスパハン(ローズ・ライチ・フランボワーズ)に代表されるような、独創的で芸術的なフレーバーの組み合わせが世界中のファンを魅了しています。外はさっくり、中はふんわりとした優しい食感も特徴です。
ダロワイヨ (Dalloyau)
フランスの歴史ある美食ブランドの一つで、オペラ座の近くに本店を構えます。伝統的な製法を守りつつ、多彩なフレーバーを展開しており、日本でも長く愛されています。
ジャン=ポール・エヴァン (Jean-Paul Hévin)
世界的なショコラティエ(チョコレート職人)として知られ、特にチョコレートを使用したマカロンの評価が非常に高いブランドです。濃厚でビターなカカオの風味を楽しみたい方には、特におすすめできます。
これらのブランドは、価格帯は高めですが、厳選された素材の良さ、卓越した技術の高さ、そしてブランドが持つ世界観を含めて、高級マカロンの魅力を存分に味わうことができます。
安いマカロンはどこで買える?
高級なイメージが強いマカロンですが、比較的安価に購入できる場所もいくつかあります。手軽にマカロンを楽しみたい場合は、以下のような選択肢を検討してみると良いでしょう。
韓国マカロン(トゥンカロン)専門店
「太っちょマカロン」とも呼ばれる、韓国発祥のトゥンカロンを扱う専門店が増えています。従来のマカロンよりもクリームがたっぷりと挟まれており、見た目もデコラティブでボリュームがあるのが特徴です。
1個あたりの価格は高級ブランドと変わらない場合もありますが、その大きさから満足感があり、コストパフォーマンスが良いと感じる人も多いようです。
ネット通販(訳あり品)
製造過程でひび割れが生じたり、形が不揃いになったりした「訳ありマカロン」が、ネット通販などで安価に販売されていることがあります。味や品質は正規品と変わらないことが多いため、見た目を気にしない自宅用として楽しむには最適です。
業務用スーパーやコストコ
海外から輸入された冷凍マカロンが、数十個入りの大容量パックで販売されている場合があります。1個あたりの単価は非常に安くなりますが、風味や食感は専門店の手作りのものとは異なる場合があるため、何を重視するかで選ぶと良いでしょう。
一部の洋菓子チェーン
地域のケーキ屋や一部の洋菓子チェーン店では、有名ブランドよりも手頃な価格でマカロンを販売していることがあります。
安いマカロンを選ぶ際は、価格だけでなく、使用されている原材料や購入者の口コミなども確認すると、満足のいく買い物に繋がりやすくなります。
マカロンがなぜ高いかを知って楽しもう
- マカロンがなぜ高いか、その背景には複数の理由がある
- 主原料のアーモンドプードルは小麦粉より高価
- フィリングには高級な食材が使われることが多い
- 製造には高度な技術と多くの手間が必要
- メレンゲの状態の見極めが難しい
- 「マカロナージュ」という独特の工程が繊細
- 気温や湿度に左右され失敗するリスクが高い
- 熟練した職人の技術料が価格に反映される
- 原価率は30%から40%程度と高め
- 繊細で割れやすく、梱包や輸送にもコストがかかる
- 有名ブランドのブランド価値も価格に含まれる
- 高くても人気なのは「特別感」があるため
- カラフルな見た目の美しさが魅力
- 独特の食感と多彩なフレーバーが楽しめる
- ギフトとしての需要が非常に高い
- 価格の理由を理解すると、一口の価値がより深く感じられる

