ABCマートの店頭でコンバースのスニーカーを見かけ「他の店より安いな」と感じた経験はありませんか。その価格設定の裏側には、実はしっかりとした理由が存在します。
多くの人が抱くABCマートのコンバースが安い理由についての疑問や、品質に関する不安を解消するため、この記事ではその秘密を詳しく掘り下げていきます。単に価格が低いというだけでなく、なぜその価格が実現できるのか、その背景にあるビジネスモデルや製品の特性まで、分かりやすく解説します。
ABCマートのコンバースが安い理由を構造から解説
※画像はイメージです
- コンバースジャパンとUSA企画の違い
- 素材の違いが価格差に直結する
- 大量仕入れが実現する安い理由
- ABCマート限定モデルの企画と価格
- スタンスミスにも見られる価格差の実例
コンバースジャパンとUSA企画の違い
日本で販売されているコンバースと、海外で流通しているコンバースが、実は異なる会社によって運営されていることをご存知でしょうか。この点が、価格やモデルのラインナップを理解する上での最初の鍵となります。
もともとアメリカの企業であったコンバース社は、2001年に経営破綻しました。その後、世界的なスポーツブランドであるナイキが商標権を取得し、アメリカ本国をはじめとする多くの国でコンバース製品を展開しています。
一方、日本では総合商社の伊藤忠商事が日本国内における商標権を保有し、「コンバースジャパン」として独自の企画・開発・販売を行っています。このため、日本のABCマートやその他の正規取扱店で目にするコンバースは、基本的にコンバースジャパンが手がけた製品です。
このような背景から、海外で人気の高い「CT70（チャックテイラー70’s）」といったUSAコンバース企画のモデルは、原則として日本の正規ルートでは販売されていません。伊藤忠商事が商標権を持つ市場で、ナイキ傘下のコンバース製品を販売することはライセンス契約上、禁止されているからです。個人が海外から輸入して販売しているケースはありますが、それらは非正規の流通品であり、価格も現地の販売価格より大幅に高くなる傾向が見られます。
したがって、日本国内で展開されるコンバースは、日本の市場やトレンドに合わせてコンバースジャパンが独自に企画したものであり、海外の製品ラインナップとは切り離して考える必要があります。
素材の違いが価格差に直結する
ABCマートで販売されているコンバースの価格が手頃な理由の一つに、使用されている素材の違いが挙げられます。例えば、セレクトショップなどで取り扱われる高価格帯のモデルと、ABCマートの標準的なモデルとでは、見た目は似ていても細部の品質に差が設けられています。
具体的には、13,000円程度の高価格帯オールスターと、6,000円台のモデルを比較すると、アッパー部分のキャンバス生地の厚みや密度、そしてシューレース（靴紐）の素材が異なります。高価格帯のモデルでは、より丈夫で質感の高いキャンバスや、ヴィンテージ感を再現したコットン100%のシューレースが採用されることがあります。
これに対し、手頃な価格のモデルでは、コストを抑えつつも十分な品質を確保した標準的な素材が選ばれるのが一般的です。
履き心地や耐久性への影響
素材の違いは、履き心地や長期的な耐久性にも影響を与えます。例えば、ソールの厚みやクッション性も価格帯によって異なる場合があります。高価格帯のモデル、特に「CT70」や日本製「オールスター J」などは、厚みのあるソールやクッション性に優れたインソールを採用しており、長時間の着用でも疲れにくい工夫がされています。
一方で、安価なモデルはソールが比較的薄く、シンプルな構造になっていることが多く、履き心地の面では高価格帯のモデルに及ばない場合があります。しかし、これは品質が低いということではなく、日常的なファッションアイテムとして楽しむ分には全く問題のない水準です。価格に応じて仕様を変えることで、幅広いニーズに応える製品ラインナップを実現しているのです。
大量仕入れが実現する安い理由
ABCマートがコンバースの製品を安価に提供できるもう一つの大きな理由は、その圧倒的な販売網を活かした「大量仕入れ」の仕組みにあります。ABCマートは日本全国に多数の店舗を展開し、オンラインストアも運営している国内最大級の靴の小売チェーンです。
この規模を活かして、メーカーから一度に発注する商品の量は、他の小規模な小売店とは比較になりません。一般的に、商品を一度に大量に仕入れることで、一足あたりの仕入れ単価（コスト）を下げることが可能になります。ABCマートはこの「スケールメリット」を最大限に活用し、メーカーとの交渉を有利に進めることで、通常よりも低いコストで商品を調達できるのです。
そして、低く抑えられた仕入れコストは、最終的な販売価格に反映されます。つまり、消費者に対してより魅力的な価格で商品を提供できるというわけです。これは偽物やB級品を安く売っているのではなく、正規のビジネスモデルを通じて実現される正当な安さと言えます。各メーカーからの信頼も厚く、偽物を販売して企業の信用を失うようなリスクを冒すことは考えられません。
ABCマート限定モデルの企画と価格
ABCマートの店頭で、「ABC-MART限定」という札が付いたスニーカーを見たことがある方も多いでしょう。これも、価格を抑えるための重要な戦略の一つです。
ABCマートは、コンバースジャパンをはじめとする各シューズメーカーと共同で、ABCマート専売の限定モデルを企画・開発しています。これらのモデルは、企画段階からABCマートの販売価格帯に合わせて設計されるのが特徴です。
例えば、通常モデルの仕様を一部変更し、よりコストパフォーマンスの高い素材に置き換えることで、製造コストを抑えます。さらに、ABCマートという巨大な販路での独占販売が前提となっているため、非常に大きなロットでの生産計画を立てることが可能です。これにより、前述の大量仕入れと同様の効果が生まれ、一足あたりの生産コストを大幅に削減できます。
これらの限定モデルは、通常モデルと比べて手頃な価格で提供される一方で、デザインやカラーリングに独自性があるため、消費者にとっても魅力的な選択肢となります。通常モデルにはない特別な一足を手頃な価格で手に入れられるのは、ABCマート限定モデルならではのメリットと言えるでしょう。
スタンスミスにも見られる価格差の実例
このような価格差の構造は、コンバースに限った話ではありません。アディダスの定番スニーカー「スタンスミス」にも、同様の事例を見ることができます。
スタンスミスには、アディダス直営店やセレクトショップで販売されている14,000円を超える高価格帯のモデルと、ABCマートが専売で取り扱う9,000円程度のモデルが存在します。両者は見た目こそ似ていますが、明確な違いがあります。
アディダスジャパンへの取材情報によると、この価格差の主な要因は「素材」です。高価格帯のモデルが「ガラスレザー」と呼ばれる光沢感のある高品質な天然皮革を使用しているのに対し、ABCマートの限定モデルは一般的な天然皮革と、かかと部分などに合成皮革を組み合わせることでコストを抑えています。
以下の表は、両者の主な違いをまとめたものです。
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種類 |
価格帯（税抜） |
主な素材 |
特徴 |
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アディダス公式版 |
13,000円～ |
高品質ガラスレザー（天然皮革） |
環境に配慮した上質な素材を使用し、オリジナルの雰囲気を忠実に復刻 |
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ABCマート限定版 |
8,900円～ |
天然皮革・合成皮革 |
素材や加工を工夫し、手に取りやすい価格を実現。柔らかな履き心地を重視 |
このように、同じ「スタンスミス」という名前でも、ターゲットとする顧客層や価格帯に応じて、異なる仕様の製品が企画・販売されていることが分かります。これは、ABCマートのコンバースが安い理由と全く同じ構造であり、どちらも本物の製品でありながら、商品の方向性が異なるということを示しています。
賢い買い方で知るABCマートのコンバースが安い理由
※画像はイメージです
- 価格で違うディティールの見分け方
- 限定モデルのメリット・デメリット
- 人気モデルの価格帯と選び方のコツ
- セール時期を狙ってお得に購入する方法
- 社員割引制度でどれくらい安くなる？
- まとめ：ABCマートのコンバースが安い理由
価格で違うディティールの見分け方
価格帯の違うコンバース・オールスターは、細部のデザイン（ディティール）に注目することで見分けることが可能です。ここでは、マニアックな視点も含め、主な違いをいくつか紹介します。
ヒールパッチ（かかとのロゴ）
かかと部分にあるロゴラベルは、モデルを見分ける上で非常に分かりやすいポイントです。
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一般的なオールスター：「ALL★STAR」というシンプルな表記です。
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日本製オールスター J：「MADE IN JAPAN」の文字が追加されています。
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CT70やアディクト：黒地に3つの星が描かれた「三ツ星」パッチが特徴です。特にCT70のパッチは光沢のある素材で作られています。
あて布（サイドのステッチ）
靴の内側、親指の付け根あたりから伸びる半円状のステッチ（縫い目）の有無も大きな違いです。
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現行の一般的なオールスター：このステッチはありません。
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CT70やアディクト、ヴィンテージモデル：強度を高めるための「あて布」があり、その部分にステッチが見られます。このステッチがあるだけで、クラシックで本格的な印象を与えます。
トゥキャップ（つま先のゴム）
つま先を保護するゴム部分の大きさや光沢感も、モデルによって異なります。ヴィンテージを再現したCT70やアディクトは、現行の一般的なモデルに比べてトゥキャップが小さく、シャープな形状をしています。また、ゴム部分のツヤ感も、CT70は光沢が強く、一般的なモデルはマットな質感です。
これらのディティールの違いを知っておくと、店頭で商品を見比べたり、自分の好みに合った一足を選んだりする際の参考になります。
限定モデルのメリット・デメリット
ABCマート限定モデルは多くの消費者にとって魅力的な選択肢ですが、購入を検討する際にはメリットとデメリットの両方を理解しておくことが大切です。
メリット
最大のメリットは、やはり価格の手頃さです。通常モデルよりも数千円安く設定されていることが多く、気軽にコンバースのファッションを楽しむことができます。また、ABCマートでしか手に入らない限定のカラーやデザインが展開されることもあり、他の人と被りにくいという利点もあります。全国の店舗で取り扱っているため、入手しやすく、在庫の確認が容易な点も嬉しいポイントです。
デメリット
一方で、デメリットとしては素材の質が挙げられます。前述の通り、価格を抑えるためにキャンバス生地やシューレースなどの素材が通常モデルや高価格帯モデルとは異なる場合があります。これにより、長期的な視点で見ると耐久性や、履き心地の深みにおいて差を感じる可能性があります。
特にスニーカーにこだわりが強く、ヴィンテージの風合いや最高の履き心地を求める方にとっては、少し物足りなく感じるかもしれません。
どちらが良い悪いというわけではなく、ファッションアイテムとして気軽に楽しみたいか、あるいは本格的な一足を長く愛用したいか、という自身の価値観に合わせて選ぶことが鍵となります。
人気モデルの価格帯と選び方のコツ
ABCマートでは、定番のオールスターを中心に、様々なモデルが展開されています。自分のスタイルや予算に合った一足を見つけるための、価格帯と選び方のポイントを紹介します。
主なモデルと価格帯の目安
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キャンバス オールスター OX/HI：6,000円台から購入可能な最もベーシックなモデル。豊富なカラーバリエーションが魅力です。
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オールスター ライトシリーズ：9,000円～11,000円台。軽量化されたソールが特徴で、軽快な履き心地を求める方におすすめです。
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オールスター PLTS（厚底）：9,000円台前後。近年人気の厚底タイプで、スタイルアップ効果が期待できます。
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オールスター スリップオン：8,000円前後。靴紐のないデザインで、着脱が非常に簡単なのが特徴です。
選び方のポイント
スニーカー選びに迷った際は、以下の2つのポイントを基準に考えると良いでしょう。
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カットの高さ（ハイカットかローカットか）
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ハイカット：足元の存在感が増し、コーディネートのアクセントになります。足首を保護する安心感もあります。
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ローカット：どんな服装にも合わせやすく、足首を見せることでスッキリとした印象を与えます。着脱も容易です。
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カラー
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ホワイト：清潔感があり、爽やかな印象。どんな色とも相性が良く、一足持っていると非常に便利です。
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ブラック：スタイリッシュで引き締まった印象。汚れが目立ちにくいという実用的なメリットもあります。
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まずは定番のカラーとカットから自分のスタイルに合うものを選び、そこから素材やデザインのバリエーションに目を向けていくと、お気に入りの一足が見つかりやすくなります。
セール時期を狙ってお得に購入する方法
ABCマートでは、定価でも手頃なコンバースをさらにお得に購入できるチャンスがあります。その代表が、定期的に開催されるセールです。
特に「コンバース大感謝祭」といった大規模なセールでは、一部の商品が最大で80%オフといった破格の価格で販売されることもあります。セール情報は、ABCマートの公式サイトや公式アプリで告知されるため、こまめにチェックしておくのがおすすめです。
公式アプリをインストールしておけば、プッシュ通知でセール情報をいち早くキャッチできるほか、アプリ限定のクーポンが配信されることもあります。
ただし、セール品には注意点もあります。人気のあるモデルやサイズは、セール開始直後に売り切れてしまうことが多いため、気になる商品があれば早めに決断することが求められます。また、セール対象となるのはシーズンオフのモデルや在庫限り商品が中心で、定番のオールスターなどはセールになりにくい傾向があります。
店舗とオンラインストアでは、在庫が別々に管理されていることにも注意が必要です。オンラインで売り切れでも店舗には在庫がある、あるいはその逆のケースもあるため、両方をチェックすると良いでしょう。
社員割引制度でどれくらい安くなる？
ABCマートで働く従業員（アルバイト含む）は、社員割引制度を利用して商品を購入することができます。これは、靴好きにとっては非常に魅力的な福利厚生の一つです。
情報によると、ABCマートの社員割引率は、VANSなどの自社製品が40%オフ、コンバースやアディダスといった他社製品は35%オフに設定されているようです。さらに、特別なフェアの期間中には割引率が上がり、最大で50%オフになることもあると言われています。
この制度を利用する際には、ABCマートで販売している靴を勤務中に着用することがルールとなっているようです。ただし、必ずしも毎回新品を購入する必要はなく、公式サイトで取り扱いのあるモデルであれば、すでに所有している靴の着用も認められています。
この割引制度は、従業員が自社の商品知識を深め、ファッションへの関心を高めることを目的としたものであり、従業員の満足度向上にも繋がっています。もし靴に囲まれて働くことに興味があるなら、このような制度も魅力の一つになるかもしれません。
まとめ：ABCマートのコンバースが安い理由
- ABCマートのコンバースが安いのは偽物だからではなく明確な理由がある
- 日本のコンバースは伊藤忠商事が商標権を持つコンバースジャパンが企画
- アメリカのコンバースはナイキ傘下にあり日本の正規店では基本的に購入不可
- ABCマートの安さの根幹は全国規模の販売網を活かした大量仕入れ
- 一度に大量発注することで一足あたりの仕入れコストを下げている
- ABCマート限定モデルは価格を抑えることを前提に企画・開発されている
- 限定モデルは通常モデルと比べて安価な素材を使用することがある
- 素材の違いはキャンバス生地の厚みやシューレースの質などに現れる
- アディダスのスタンスミスにも同様に価格帯で素材が違うモデルが存在する
- 価格による違いはヒールパッチのデザインですぐに見分けられる
- サイドのステッチの有無もヴィンテージ仕様と現行品を見分けるポイント
- 限定モデルは安価で手に入るが耐久性や履き心地は高価格帯に及ばない場合がある
- セール時期を狙えばさらにお得に購入できる可能性がある
- 公式アプリの活用でセール情報やクーポンを逃さずチェックできる
- 自身の目的や価値観に合わせてモデルを選ぶことが最も賢い買い方と言える
