「手頃な価格でおしゃれなキャンプギアが欲しい」と考えたとき、ホールアースというブランドが候補に挙がることは少なくありません。しかし、その魅力的な価格から「ホールアースはなぜ安いのだろう？」と品質に疑問を感じたり、失敗や後悔を避けたいと考える方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、そんな疑問にお答えします。主力製品であるテントや人気のリュックの評判、そして定番ブランドであるコールマンとの比較を通じて、ホールアースのコストパフォーマンスの高さを探ります。
また、過去にデサントがブランドの扱いを撤退した経緯や、現在ゼビオが主な販売チャネルとなっている背景にも触れながら、安さの秘密を多角的に解き明かしていきます。
この記事を読み終える頃には、ホールアースがなぜ多くのキャンパーに選ばれるのか、その理由が明確になっているはずです。
ホールアースはなぜ安い？ブランドの正体
-
ホールアースはどこの国のブランド？
-
高品質なのに安い4つの理由
-
デサントから撤退した過去と現在の運営
-
ゼビオで購入できる？主な販売店
ホールアースはどこの国のブランド？
出展：WHOLE EARTH ONLINE STORE
ホールアース（Whole Earth）は、1991年に誕生した日本発のアウトドアブランドです。海外ブランドと認識されることもありますが、日本の企業によって企画・開発が行われています。
ブランド創設当初から「地球に優しい、体に優しい」を基本コンセプトに掲げ、アウトドアライフを豊かにするアイテムを提供してきました。そして2020年3月には「All Playing Field（すべての場所をフィールドに）」という新たなコンセプトと共にロゴを刷新。
これにより、本格的なキャンプシーンだけでなく、日常のライフスタイルにも溶け込むカジュアルなアイテム展開を強化し、さらに多くのファンを獲得しています。
日本発のブランドであるため、日本の気候や日本人の体型、そしてキャンパーのニーズを細やかに反映した製品開発が可能な点は、大きな強みと言えるでしょう。デザインや機能性において、ユーザーの「これが欲しかった」という声に応える製品が多いのも、こうした背景があるからと考えられます。
高品質なのに安い理由
ホールアースの製品が、なぜ高品質でありながら手頃な価格を実現できているのか、その理由は主に4つの要素から考えられます。
広告戦略と販売チャネルの最適化
第一に、広告宣伝費を巧みにコントロールしている点が挙げられます。ホールアースは、テレビCMのような大規模なマス広告に多額の費用を投じるのではなく、口コミやSNS、アウトドア専門誌などを中心とした的を絞ったプロモーションを展開しています。
また、後述するゼビオグループのような特定の販売チャネルに流通を集中させることで、中間マージンを削減し、コストを抑える工夫が見られます。
生産体制の効率化
次に、生産体制の効率化です。多くの製品で共通のパーツを使用したり、需要予測に基づいた計画的な大量生産を行ったりすることで、一つあたりの製造コストを低減させています。これは、品質を落とさずに価格を抑えるための、メーカーとして基本的ながらも重要な企業努力と言えます。
機能の絞り込みとシンプル化
三つ目の理由として、機能を過剰にせず、ユーザーにとって本当に必要なものに絞り込んでいる点が考えられます。例えば、最高峰の登山を目指すようなオーバースペックな機能はあえて搭載せず、ファミリーキャンプやカジュアルなアウトドアシーンで快適に過ごせる十分な機能に限定。これにより、素材コストや開発コストを合理的な範囲に収めています。
ブランドの立ち位置
最後に、ブランドのポジショニング戦略が挙げられます。ホールアースは、超高級路線ではなく、高品質な入門～中級者向けモデルを提供するブランドとしての地位を確立しています。この明確な立ち位置があるからこそ、価格設定においてもユーザーが手に取りやすい範囲を意識した戦略が可能となり、結果として「コスパが良い」という評価に繋がっているのです。
これらの理由から、ホールアースは単に「安い」のではなく、「品質と価格のバランスを最適化した結果、安く提供できている」と理解するのが適切でしょう。
デサントから撤退した過去と現在の運営
ホールアースのブランド背景を語る上で、大手スポーツメーカーであるデサント社との関わりは無視できません。かつてホールアースはデサント社が展開するアウトドアブランドの一つでしたが、2011年の春夏シーズンをもって、その取り扱いは終了となりました。一部ではこの事実を指して「撤退」と捉えられ、ブランドの将来を不安視する声もありました。
しかし、ホールアースというブランドが消滅したわけではありません。その後、数年の期間を経て、2017年からはアウトドアやスポーツ用品の企画・販売を手掛ける株式会社フラッグがブランドを継承し、運営を再開しています。
現在のホールアースは、この新しい運営体制のもとで再始動し、かつてのコンセプトを大切にしながらも、新たな視点で次々と魅力的な製品をリリースしています。むしろ、独立したブランドとして運営されることで、より自由度の高い製品開発や、ターゲットを明確にしたマーケティング戦略が可能になったと見ることもできます。
デサントという大手資本から離れたことが、現在の柔軟な製品展開とコストパフォーマンスの高さに繋がっている側面もあるかもしれません。
ゼビオで購入できる？主な販売店
ホールアースの製品を探す際、最も確実な購入先となるのが、スーパースポーツゼビオやヴィクトリア、エルブレスといったゼビオグループの店舗です。前述の通り、ホールアースは販売チャネルを戦略的に絞っており、ゼビオグループがその中核を担っています。
全国に展開するゼビオグループの大型スポーツ・アウトドア用品店では、テントやチェア、テーブルといった主要なキャンプギアが実際に展示されていることも多く、サイズ感や素材、色合いなどを直接確認してから購入できるのが大きなメリットです。特にテントのような高価な買い物では、実物を見られる安心感は非常に大きいものがあります。
また、店舗だけでなく、ゼビオグループの公式オンラインストアでも幅広いラインナップが取り扱われています。近くに店舗がない場合や、時間を気にせずじっくり選びたい場合には、オンラインでの購入が便利です。
もちろん、ゼビオグループ以外のアウトドア用品店や、Amazon、楽天市場といった大手ECモールでも一部取り扱いがあります。しかし、最新モデルや全てのラインナップが揃っているのは、やはりゼビオグループの店舗やオンラインストアと言えるでしょう。購入を検討する際は、まずこれらの販売チャネルをチェックすることをおすすめします。
ホールアースはなぜ安い？人気ギアを分析
-
主力製品であるテントの機能性と特徴
-
コールマンとの比較でわかるコスパの高さ
-
リュックの評判から見るユーザーの評価
-
初心者でも簡単な設営アシスト機能
-
おしゃれで自然に馴染むデザイン性
主力製品であるテントの機能性と特徴
ホールアースの顔とも言えるのが、多種多様なテントのラインナップです。これらのテントは、手頃な価格帯でありながら、日本のキャンプシーンで求められる機能を十分に満たしている点が最大の特徴です。
快適性を高める基本機能
多くのテントには、優れた機能が標準装備されています。例えば、フライシートには高い耐水圧（3,000mm程度）が確保されているものが多く、急な雨にも安心して対応可能です。
さらに、生地表面には撥水加工、裏面には室温の上昇を抑えるシルバーコーティングが施されているモデルもあり、夏場の快適性を高めています。また、多くのテントに難燃加工が施されており、近くで焚き火を楽しむ際にも安心感があります。
冬キャンプで重要となる冷気の侵入を防ぐ「ウィンドスカート」が標準装備されているモデルが多いのも、ユーザーにとっては嬉しいポイントです。
居住性と通気性
インナーテントには大型のメッシュパネルが多用され、通気性を確保し結露を軽減する工夫がなされています。アース製薬と共同開発した防虫加工「SCORON（スコーロン）」を採用したモデルもあり、虫が苦手な方や小さなお子様がいるファミリーには特に魅力的な選択肢となります。
ドーム型テントから2ルームテント、ロッジ型まで、用途に応じたサイズと形状が用意されており、ソロからファミリーまで幅広いニーズに対応しています。
デメリットや注意点
一方で、注意すべき点も存在します。高品質な素材や多くの機能を備えている分、同サイズの他社製品と比較して、収納時の重量やかさ（サイズ）がやや大きくなる傾向があります。オートキャンプがメインであれば問題になりにくいですが、徒歩や公共交通機関での移動を考える場合は、事前に重量と収納サイズをしっかりと確認することが大切です。
コールマンとの比較でわかるコスパの高さ
ホールアースのコストパフォーマンスを客観的に理解するために、絶大な人気を誇るコールマンの定番ソロ・デュオ向けテント「ツーリングドーム/ST」と、ホールアースの同等クラスのテント「アーストリッパー SC」を比較してみます。
スペックと機能性の比較
この表から分かるように、ホールアースの「アーストリッパー SC」は、コールマンの「ツーリングドーム/ST」に比べて耐水圧のスペックが格段に高いことがわかります。特に地面からの浸水を防ぐフロアの耐水圧は5,000mmと、非常に高い数値を誇ります。
また、冬場のキャンプで活躍するウィンドスカートや、夏場に嬉しい防虫機能が標準で備わっている点も大きなアドバンテージです。
サイズ感と価格
一方で、重量はコールマンの方が軽く、コンパクトです。価格帯もコールマンの方がやや安価な傾向にあります。 しかし、ホールアースのテントは、より広い前室と高い室内高を持ち、居住空間の快適性では優位に立っています。
以上の点を踏まえると、携帯性を最優先するならコールマン、多少重くてもオールシーズン対応の機能性と高い耐水圧、広い居住空間を求めるならホールアース、という選択肢が見えてきます。
価格差が比較的小さいことを考えると、ホールアースのテントが持つ機能性の高さは、非常に優れたコストパフォーマンスを実現していると言えるでしょう。
リュックの評判から見るユーザーの評価
ホールアースはテントだけでなく、リュックなどのアクセサリー類にも定評があります。実際に使用しているユーザーの評判を見ると、その魅力と注意点がより具体的に浮かび上がってきます。
ユーザーから高く評価される点
多くのレビューで共通して挙げられるのが、アウトドア仕様でありながら街中でも違和感なく使えるデザイン性の高さです。落ち着いたカラーリングと、主張しすぎないロゴは、どんな服装にも合わせやすいと好評を得ています。
機能面では、胸部分にあるチェストベルト（胸ベルト）の効果を挙げる声が多く聞かれます。このベルトを締めることで、肩への荷重が分散され、荷物が軽く感じられるという点は、特に重い荷物を運ぶ機会があるユーザーにとって大きなメリットです。また、見た目以上に容量が大きいマチの深さや、内部のポケットの充実度も評価されています。
一方で気になる点・注意点
もちろん、良い点ばかりではありません。一部のユーザーからは、ファスナーやバックルがやや硬く、開閉に少し力が必要だという指摘があります。使い込むうちに馴染んでくる可能性はありますが、購入直後は気になるかもしれません。
また、小型のモデル（15Lなど）の場合、腰に巻くウエストベルトが適切な位置に届かず、荷重分散の効果を十分に発揮しきれないという声も見られます。これは使用者の体格にもよるため、可能であれば購入前に試着してみるのが理想的です。
さらに、スマホなどを頻繁に出し入れする際、ポケットの構造やファスナーの硬さが少し手間に感じられるという意見もありました。
これらの評判から、ホールアースのリュックは、デザインと基本的な背負い心地、コストパフォーマンスに優れる一方で、細部の操作性においては改善の余地がある、と考えることができます。
初心者でも簡単な設営アシスト機能
キャンプ初心者にとって、テントの設営は最初の大きなハードルです。ホールアースのテントは、このハードルを越えやすくするための工夫が随所に凝らされており、これも人気の理由の一つです。
その代表的な機能が「カラーアシストシステム」です。これは、テントのポールと、そのポールを差し込むスリーブやグロメット（ポールの先端を差し込む穴）が同じ色で統一されているシステムを指します。
例えば「赤色のポールは、赤色のスリーブに通して、赤色のグロメットに差し込む」というように、直感的に作業を進めることが可能です。これにより、どのポールをどこに繋げばよいのか迷うことがなくなり、設営時間を大幅に短縮できます。
さらに、「クイックアップイージーピン」と呼ばれる独自の機構を採用しているモデルもあります。これは、ポールの先端をピンに差し込む作業を、より少ない力で簡単に行えるようにしたものです。
これらのアシスト機能のおかげで、大型のテントであっても、初めて設営する人や力の弱い方でも、比較的スムーズに組み立てられるようになっています。
公式サイトでは設営方法を解説した動画も多数公開されており、事前に予習できるのも安心材料です。設営の簡単さは、キャンプの時間をより楽しむための重要な要素と言えるでしょう。
おしゃれで自然に馴染むデザイン性
ホールアース製品の大きな魅力として、機能性や価格だけでなく、その優れたデザイン性を挙げる声が非常に多いです。ブランド全体のデザインは、アースカラーを基調としています。
アースカラーとは、ベージュ、カーキ、ブラウンといった、大地や植物など自然界に存在する色合いのことです。これらの色は、キャンプ場の緑や土の色とよく調和し、悪目立ちすることなくサイト全体に統一感と落ち着いた雰囲気をもたらします。
ホールアースのテントやタープをベースにすれば、他のブランドのチェアやテーブルともコーディネートしやすいため、自分らしいおしゃれなサイト作りを楽しむことができます。
一方で、定番のアースカラーだけでなく、ユニークなカラーリングの製品も展開しています。例えば、三角屋根が特徴的なティピーテントでは、他ではあまり見られないブルーやピンクといった鮮やかなカラーを採用したモデルもあり、キャンプサイトで個性を発揮したいキャンパーの心も掴んでいます。
このように、自然に溶け込むベーシックなデザインと、遊び心のあるデザインの両方をラインナップに揃えている点が、ホールアースのデザイン性の高さを示しています。機能一辺倒ではなく、キャンプの雰囲気を大切にしたいというユーザーの想いに応えるデザイン哲学が、多くのファンを惹きつける理由の一つです。
まとめ：ホールアースはなぜ安いのか
この記事では、ホールアースがなぜ安いのか、その理由と魅力を多角的に解説してきました。最後に、記事の重要なポイントをまとめます。
-
ホールアースは1991年に誕生した日本のアウトドアブランド
-
コンセプトは「All Playing Field（すべての場所をフィールドに）」
-
かつてはデサントが扱っていたが2011年に終了
-
2017年から株式会社フラッグが運営を再開し現在に至る
-
安さの理由は広告費の抑制や販売チャネルの最適化にある
-
ゼビオグループが主要な販売チャネルとなっている
-
製造工程の効率化や機能の絞り込みも低価格に貢献
-
テントは高い耐水圧や難燃加工など十分な機能を備える
-
ウィンドスカートや防虫機能付きのモデルも存在する
-
コールマンなど他社製品と比較してもコスパの高さが際立つ
-
一方で一部製品には重量やかさがあるという注意点も
-
リュックはデザイン性と背負い心地で良い評判が多い
-
ファスナーの硬さなど細部の操作性には改善の余地も
-
ポールとスリーブが同色のカラーアシスト機能で設営が簡単
-
自然に馴染むアースカラーを基調としたおしゃれなデザインが魅力
